2018年第33回サロマ湖ウルトラマラソン完走記、季節外れの暑さに苦しむ前半戦

昨年の無念のリタイアから1年、ようやくリベンジ、忘れ物をとってきました。
2018年第33回サロマ湖ウルトラマラソン100km、完走できました。

昨年はスタートから土砂降り、80km過ぎのワッカで濡れた体にオホーツク海からの北風をもろに受け、低体温症で無念のリタイアをしました。
制限時間はまだ4時間以上あったのにです。

そんな厳しかった昨年、これ以上悪い状況があるかと思っていましたが、今年の気象条件はなんと昨年以上に難しいレースだったという気がしています。日中は夏のような暑さになり、終盤は冬の嵐のような冷たい風雨という過酷な気象条件だったのです。

100kmの完走率は次のような結果になったそうです。
参加者 3,301人
完走者 2,420人
完走率 73.1%

2017年の完走率は71.4%。

結果としては昨年より少し完走率は高いという感じですが、ワッカでのリタイアは去年よりも多かったように感じました。

去年同様厳しいレース環境でしたが、個人的には今回準備からゴールまで、自分なりに考え、準備し、積み重ねてきたものがしっかりと出せた気がする満足度の高い結果でした。

そんなサロマ湖ウルトラマラソンの完走記です。

事前準備

天気予報では前日30度位の暑さがあり、当日は最高気温20度、最低気温13度。午後から風が5m/sくらいという予報。
よくわからない天気だなという印象でした。
そのため、寒さと暑さの両方に対応できるようにウェアリングを工夫しました。
といっても、いつもの格好に手袋とレインジャケットを持ったくらいですかね。

また超長距離ではいつも内臓が先に悲鳴をあげるので、1週間の禁酒、カフェイン抜き、辛いものなどの刺激物を避けて、胃腸を整えました。
以前ウルトラマラソンの講習会に出たときに、24時間マラソン日本代表の青谷瑞紀さんに内臓を整える重要性を教えていただいたことを自分なりに実践してみた感じです。
ウルトラアカデミー荒川に参加した感想、豪華講師陣との4時間走がすごかった

またいつもマラソンレースの前日は全く寝付けず、寝不足状態で走っていたので、1週間前からサッカーワールドカップがはじまったこともあり、21時に寝て3時に起きるといった極端な朝方に変えて本番当日の環境に体をならすようにしていきました。

当日の朝

前日19時ごろに女満別の空港に到着し、レンタカーを借りに移動。

ここで1つ問題発生。

レンタカーを北見駅の営業所にウルトラマラソン当日の18:00までにガソリンを満タンにして返さないとならないということ。

なんと営業所が18:00に閉まってしまうということなので、遅れるということはイコールもう1日分(半日分?)の費用が発生する?延滞料金とか法外な値段が発生する?

逆算すると、11時間30分以内にゴールしないと間に合わない!!
なんだか余計なプレッシャーがのしかかってきました。

ホテルに付いたのが20時過ぎ。
晩飯は外食すると無駄な時間を使ってしまうので、睡眠時間を優先してコンビニ弁当に。朝ごはんも買っておくことに。
極力消化のしやすそうなものを選ぶ。炭水化物優先で肉や野菜など消化に時間がかかりそうなものは避けました。
また朝慌てないように、夜のうちに明日の持ち物を整理しておきました。

ホテルに着くのがこの時間になることはわかっていたので予めウェアへゼッケンをつけることや、テーピングを切っておいたり、補給食をまとめておいたり、事前にできることは家を出る前に済ませておいたので、21時30分頃にはベッドに横になれました。

当然ながら寝る前にサッポロクラシックなど飲んでいません!!(一緒にいった友人が飲んでましたが)

いつもは緊張から全く寝ることが出来なかったのですが、今回は比較的よく眠れたと思います。
深夜1時にもう少し眠りたいと思いつつ、なんとか動き始めます。

着替えをして朝ごはんを食べて、1:50にホテルを出発。
常呂町スポーツセンターの駐車場に車をとめ、ツアーバスでスタート地点へ。

スタート地点には4:00ちょうどに到着。

到着後、テーピングを両足首と膝に貼り、最終的な荷物チェック。大エイドに送るものとゴール地点に送るものに分けます。

ここでポイントは迷ったら全部大エイドに送っておくと良いです。

大エイドに送ったものは最終的にゴール地点に届けてくれるので、袋に入るなら雨対策や補給食、治療薬など何が起きても良いように、少しでも可能性のあるものは、全部いれておくと心が落ち着くと思います。

今回私が大エイドに送ったものは

・補給食
エネモチ2つ・・・これが一番楽しみ
友人から教わった最高に美味しいと評判の補給食です。

・サプリ類(BCAAやVAAM)

・治療薬(胃薬、ロキソニン、カフェイン、絆創膏)
途中で落としてしまうことも考え、大エイドにも必要以上に送っておく

・雨具
去年のワッカでは寒さで低体温症になり、完走を逃してしまったので絶対にワッカは寒くなると考えてたのと、日中暑くなることがわかっていたので、ワッカでは体力がなくひたすら歩くことになるかもいしれないと考えてレインウェアを用意しました。

・子供からの手紙
出発前に子供から辛くなったら読んでねと渡された手紙を大エイドに置いておくことにしました。

自分なりにじっくり考えて、用意したのですが、いざ手荷物を預けようとするとなにか間違っていないか、なにか足りないんじゃないかという気になってしまってなかなか預けにいけませんでしたが、トイレに並ぶ人の数がどんどん伸びてきたのを観て、潔く(?)荷物を預けてトイレに並びました。

このトイレがなかなか先に進みません。

結局トイレが終わったのはスタート20分前くらい。
ちなみに朝から飲み物は軽めにしています。
多分200ccも飲んでいないと思います。

スタート地点ではスポンサーのアミノバイタルが気前よくジェルを配っていましたが、それを口にはしませんでした。
ジェルも相当の水分が含まれているからです。

私の体質的には、スタート時はそれほど水分補給をしなくても20kmくらいは走れます。
早朝、起きて、なにも食事、水分を取らずにどれくらいのコンディションで走れるかを知っておくと参考になるかもしれません。

朝の水分を控えるのは、スタート直後はトイレが混むので、トイレロスの時間がかなりもったいないからです。

スタート直後

「今日の天気は曇り、大変走りやすい天気になりそうですね」とスタート地点では女性の司会者がマイクに向かってしゃべっていました。

でも徐々に雲が散っていき、なんだか青空が見え始めます。

天気予報では曇りじゃなかったか?という疑問を持ちながら、なんだか暑くなりそうだなと不安がよぎります。

今回の目標は10時間をきってゴールすること。

いわゆるサブ10です。

でも暑くなったら、完走狙いだなと考えていました。

なので、
・ひとまず涼しいうちに進めるだけ進もう
・イーブンペースなら5分45秒/kmくらいだけれどももう少しペースをあげて行っても良い
・体の調子が良い間に距離をかせいで、暑くなったら粘ろう
・最後のワッカまでにできるだけ時間を稼いでおこう
というのが今回の作戦でした。

スタート時の気温は若干低め。体感で10度くらい。

寒さ対策としてそして暑くなったらすぐに体温調節できるように手袋をして、アームスリーブをしました。

帽子・・・暑くなることを想定し、熱中症対策に良いとされるAirpeakを用意
アームスリーブ・・・寒さ対策、暑くなったら濡らしたり
ドライレイヤー・・・finetrackをTシャツの下に着用
Tシャツ・・・四万十川ウルトラマラソンの公式チャレンジャーTシャツ
インナーパンツ・・・MY PAKAGE。股擦れしない最強パンツ。
カーフスリーブ・・・ふくらはぎサポート
靴下・・・RxLのメリノウール5本指ソックス
サロマ湖ウルトラマラソンでの暑さ対策【装備、レース中】
サロマ湖ウルトラマラソンでの寒さ対策、雨対策【装備、準備編】

周りをみるとランニングに短パンのみという人もチラホラいましたが、その人にはその人のレースプランや体質があるので、それがおかしいとは思いません。
自分の体質を理解して、準備をしておくことが重要だと思います。

スタートから20km

スタートの合図とともにまずはゆっくりと慌てて集団をかき分けるようなことはせずに集団がばらけるまでは我慢します。

集団をかき分けかき分け行くとそこでかなりエネルギーを使ってしまうのと、転倒など思わぬ怪我をする可能性もありますのでここは自重します。

それでもかなり早いタイミングでキロ6分以下のペースで走れるようになってきました。

非常に涼しく走りやすい気温。

体の調子も悪くなく良い感じでスタートがきれました。

20kmから40km

徐々に暑くなってきました。

20km過ぎからは完全に夏日といった感じの日差し。

ここまでキロ5分30秒〜5分35秒くらいで走れていたのですが、一気にペースが落ち、5分50秒くらいのペースになってきました。

暑さに耐えきれず、運営が用意してくれているかぶり水(体にかけたり、頭からかぶったりする水が大きなたらいに用意されていて、柄杓ですくってかける)を早々にかぶりはじめました。

そうしないとちょっと走れないくらいの暑さだと感じていたのと、自分は暑さに弱いので、気がついてからでは熱中症になってしまうと考え、早めに暑さ対策で頭を冷やすことを意識した感じです。

・かぶり水で頭を冷やす
・氷が置いてあるところでは氷をもらい帽子の中にいれる
・ネッカチーフを水で濡らし、首の太い血管を冷やしながら走る
・塩をなめる

塩は塩分チャージなどでも良いと思いますが、自分はスポーツドリンクっぽい味が苦手なので塩を小さな容器にいれて持参しました。

また最初の補給から、なるべく固形物中心に補給をしていきました。
バナナとアンパンが補給にあったため、バナナがあるところではバナナを、アンパンがあるところではアンパンを食べるようにしました。

ジェルは体が受け付けなくなった最後の手段。胃腸が動いている間は固形物を取るというのが胃腸の強くない自分の作戦です。

40kmから60km

そしてなんとか暑さをだましだまし、42.195km地点を通過。

通過タイムが3時間58分51秒。

サブ4ペース。

しかし暑さでもう元気がなくなっていました。

容赦なく夏のような日差しがさし続けます。

場所によっては、かぶり水の供給が追いていないところもあります。
みな暑さにへばっている様子でした。

30km過ぎから自分も暑さもあり、胃腸の調子も悪くなりはじめ体に力が入らなくなってきました。

そして大エイド前の上り坂が2つ続くところで、とうとう走れなくなってしまいました。

駄目だ、ここは歩こう。

気がつくと心拍数が170を超えていました。

自分の中でイーブンペースであれば160前後でいかないとならないと考えていたので、明らかに体が悲鳴をあげはじめているのがわかったからです。

100kmをすべて走って完走という小さな目標もあったのですが、この気温の中ではこだわるべき目標ではないと判断した感じです。
おそらくそこにこだわると完走すら危うくなるかもしれないという怖さもありました。

しかし暑さと胃腸からくるだるさ、歩いてしまったこと、すべてがマイナス思考となってしまいました。

「もうやめちゃおう」と弱い自分がささやきはじめます。

「そもそもこんなに暑さに弱くて、胃腸も弱いやつがウルトラマラソンなんてむいてないんだよ。」とも。

「ほら、もうリタイアしている人もいるよ。」

見るとエイドの奥に見える救護室にうなだれているランナーがちらほら見えます。

「こんだけ暑いんじゃしょうがないよ。」

「涼しい木陰で一休みしようよ。」

このときが一番つらかったです。この40kmから60km。弱い自分の内面とひたすら向き合う2時間でした。

「でも大エイドに子供の手紙があるから、それ読まないと」

「そういえば大エイドにはエネモチあるし、大エイドまでもうすぐだし。」

道端で自分のように内臓をやられて嘔吐している人もいます。

みな辛そうだ。

「この坂を2つ超えたら大エイドだ。」

「ここはもう歩いても良いよ。」

なんとか心をつなぎとめながら大エイドを目指しました。

後半につづく

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